2013/06/30

3. GRAMS実験

 GRAMS(Gamma-Ray and AntiMatter Survey)は、「宇宙線荷電反粒子の検出による暗黒物質発見」と「MeV領域γ線の観測」を目指す国際コラボーレーション実験です。荷電反粒子の中でも特に反重陽子(antideuteron)に注目をしています。下図のように、GeVにピークを持つ背景事象(赤線)に対して、様々な暗黒物質モデルを起源とする理論(緑線)はMeV領域にピークを持つようなスペクトルを予想しています。そのため、宇宙線反重陽子の発見により、暗黒物質などの未知の生成源を強く示唆することができます。
 一方で、γ線の観測ですが、MeV領域は他のエネルギー帯域と比較して観測が進んでいません。もう一つの目的であるMeVγ線の観測は、DMの間接探索だけでなく、重元素合成のモデルを検証することで物質の起源に迫る大きなインパクトとなります。

 GRAMS実験では気球搭載型LAr-TPCとそれを覆う2層のToFシンチレータを用いて観測を行います。反重陽子のような荷電粒子がLAr-TPCを通過すると、飛跡に沿ってLArを電離または励起します。電離電子とシンチレーション光を観測することによりLAr-TPCは飛跡に沿ったdE/dXを再構成できます。また、ToFや反粒子がArと対消滅し放出されるパイオンなどを用いることにより、強力な粒子識別が可能です。一方で、γ線はLAr-TPCをコンプトンカメラとして使用し観測します。